ミステリー小説 「黄金流砂」
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作成日時 : 2005/03/15 14:45
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ミステリーが好きだ。中津文彦著『黄金流砂』を読む。読みながら自分なりに推理する。
著者は10年余の報道記者を退いた後、著述業に入る。S16年生、岩手県出身。本の冒頭でミステリーを書いてみたいと思った動機をこう述べている。「未だに;知らぜらる世界;を持つ東北の魅力と忠衡という人物に対する興味である」と・・・
忠衡は放映中の大河ドラマ『義経』(1159〜1189)に登場する秀衡の三男にあたる。内容は第1章〜第7章まであり、292ページの長編推理小説である。『黄金流砂』という本のタイトルと第1章の「地図にない山」を組み合わせると地図にない山=黄金の山と容易に推理できる。
物語は新米の新聞記者の法願(義経をなぞったような名前が面白い)総一郎が赴任地、盛岡にむかう列車の中から始まる。この車内で高校教師、広瀬と出会う。法願と広瀬は後に深い関わりを持つ。2ヵ月後、法願は県警の記者クラブで殺しの情報を耳にする。
害者は古代史の権威者、高村教授であった。宿泊先のホテルの部屋から交換手の聞いたダイイング・メッセージ「アヒル」の謎を追って法願は動き出す。殺人の動機は?アリバイは?たんなる物盗りではなくきっと、怨恨にちがいないと又推理する。たんなる物盗りとしたら物語はつまらなくなる。高村教授の教え子、その妻、平泉史の研究グループ、クラブのママたちが捜査線上に浮上してくる。そして第2の殺人がおきる。
マタギ「太市」の不可解な死。太市は黄金の山に入ったのか?さらに忠衡の末裔が先祖代々守ってきた判官神社(これも義経になぞらえている)から、『先祖ノ由書』が出てくる。そこには忠衡の謎の暗号文が記されていた。暗号文を解けば黄金のありかにたどりつくに違いない。梵字から神代文字へ広瀬の古文書解読への旅がはじまる。加えて先輩達の謎の行動と古代文字との接点を見出せない広瀬の苦悩は増していく。
一方、金色堂を訪れた法願は、そこで二重にロックされた古文書の解読のヒントを得る。そして悪戦苦闘の末、ついに解読に成功する。古文書に書かれた不可解な文字は「アヒル」すなわち、『阿比留文字」であった。法願と広瀬はマタギの案内で平泉を支えた黄金の山に近づいていく。そこに待ち受けていてものは?物語は劇的なクライマックスをむかえる。
奥州平泉の歴史に隠された黄金伝説と古文書の謎解きが同時に楽しめた。
大方の犯罪は欲が起因するようにおもう。凡人であるかぎり、欲を持ちあわせない人はいないだろう。その欲で人はおろかな罪を犯すこともある。ミステリー小説に欲に操られ、踊らされる人間の弱さを垣間見ることができる。(画像は平泉町のホームページより拝借のもの)
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